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【Category 】

私の愛しい人の誕生日は素晴らしくて酷く悲惨…
「誕生日おめでとう御座います、マルコ少佐!」

彼は「ああ、そうだったか」と思い出した様に少し照れくさそうに笑った。
差し出したのは少し高級感の漂う掌よりやや大きめで、金色のアルファベットが丁寧に刻まれた黒い紙袋…。


「何が良いかわからなくて凄く悩んだんですけど…
 き…気に入ってくれると凄く嬉しいです、えへへ…」

「なんか悪いな…」


はにかみながら笑みを浮かべ…
差し出したプレゼントを受け取った彼の表情に、自分の顔が火照っていくのがわかった私は少し俯く。
赤いジャケットが静かに風を起こすと、火薬の匂いが鼻を擽った…。


「あ…開けてみて下さい。
 どうかな、あはは…要らなかったら百太郎さんにでもあげようかなぁ」


…本当は彼に渡す気なんてなかった。
きっと「そんな暇があったらソースを読め」なんて言われるんじゃないかって…。
私が彼に渡せなかったプレゼントは、実は結構あったけれど、渡してみると意外にも普通だった。
日常の厳しく生真面目な彼を見ているからだろう。静かに微笑む彼の姿が、どことなく新鮮に感じる。

彼は紙袋の底に沈む、上質な縦長の黒いケースを取り出した。
開け方に少し戸惑っていたけれど、パカ…と音を立てて開けたケースを覗き込む。


「お、ボールペン?」

「はっ…はい、そうです。
 ライターや時計は持ってるし、パソコン機具とか部品とかまったくわからないし、
 食べ物はフィオさんやメグ教官が作るって言ってたし、飾りつけだけなんてなんかイヤだし、
 お酒は未成年だから買えなかったし、その、あの、えっと、欲しい物とか知らないし…だから……」


彼が中を見た瞬間、落ち着かない気持ちが飛び出して、ついベラベラと喋ってしまった。
恥ずかしさに紛れる不安が、なんだかギュウ…と、心臓を握られる様な気分だ。


「…実用的な物が良いかな…っていうか…
 少佐…書類を沢山書くし、すぐにペンのインクが無くなっちゃうって…言ってたから……」

「あぁ、俺…そんな事ぼやいてたっけな?」

「はっ、はいっ、それでその、これ、カートリッジ式になってまして…!
 あの、こっちに交換用を沢山買ってますから…当分は無くならないかと…!!」


自分から近づいたとはいえ、彼を近くで感じた事に気がつくと、急に鼓動が大きく早く動いていく。
聞こえてしまうだろうか、なんて変な心配が立ち込めると、ついつい大きな声で説明してしまった…。
危うく敬礼してしまいそうになった右腕を、ソ…と後ろに隠す。


「へぇ、凄いなぁ」

「そそっ、そうなんです!壊れるまでは使えるかと思います!!
 …はッ!!でででもあのっ、一生使ってとか言っている訳では!
 …はッ!!カートリッジ無くなっちゃったらどうするんでしょう!!?
 わぁーッそこまで考えてなかったァーッ!!!すみませんやっぱり百太郎さんにでも譲りますッ」


これじゃまるで百太郎さんは残飯処理係みたいじゃないか。
そんな事を思う余裕は今の私には一欠片も残っていなかった…。


「いやそんな、俺これ気に入ったよ。
 こんな良いボールペンがあったなんて知らなかった…」

「へあッ?!そ、そうですか…?」

「あぁ、凄く助かる」


ヘイジーブロンドの隙間から覗く瞳が、とても綺麗に感じた。まるで星や宝石の様だ…なんて。
つい見惚れてしまっていた私は、そんな彼の瞳とぶつかってしまい、急いで目を横に逸らす。
ばれてないかな…と少し冷や冷やした。


「始末書と戦うのに心強い味方ができたな」

「あはは、大袈裟ですよ」

「でも高かっただろう?
 本当に貰って良いのか??」

「勿論です!
 少佐の為に買ったんですから!!…はわッ!!!」

「ん?」

なんか私ったら凄く恥ずかしい事言っちゃった。
…と、顔から火が出る様な感覚に襲われ、やばいやばいと心の中で焦り始める。
そんな様子に気づいた彼は「大丈夫か?」と心配してくれた。


「まさか今更、
 金が無くなってしまって大変だ、とか気づいたんじゃないだろうな…」

「ちっ…ちちち違いますそうじゃないですホントあはははは!
 えっと私、思わぬ収入が入ったので、ブランドさんなんてへっちゃらなんですっ」


勘違いされちゃったけど、
「貴方の為に」なんて言った私の言葉に気付いて無いみたいで良かった…。
私は大きく深呼吸して乱れた心を整えると、ふぅ…と一息ついて笑ってみせる。


「今度私の誕生日プレゼント、期待してますから!
 何が良いかなぁ~!!宝石のついたネックレスやブレスレットとか?…なんちゃって、あはは!」

「お…おいおい、
 俺はそんなに良い給料貰ってないんだからな」

「そうですね!」

「…こらッ」

「あはははは!!
 とにかく快く貰って下さい!
 大丈夫です、見返りなんて求めてませんからッ」

「…まぁ有り難く頂いておくよ。
 どうせ今日だって始末書が山の様に来るから、早速使ってみるかな」

「少佐ったらホンット生真面目!
 そんなの誤魔化せば良いってみ~んな言ってるじゃないですか。
 それに今日は誕生日なんですからね!!たまにはサボったって良いんです」

「良くない!」

「う…」


とりあえず気に入ってくれてる様で、安心感が一気に広がった。
来年はまたカートリッジを買い込んでプレゼントしようかな?
…なんて考える余裕ができた私は、漸く心の底から笑顔に満ち溢れた。


「マルコ!」


後ろから聞こえた声を追いかける様に振り向くと、
レモン色の髪にバンダナを巻いた気の強い女性が立っていた。


「主役が消えたと思って吃驚したじゃない。
 もう準備ができてるから、この恥ずかしい帽子を被って入場しな!」


彼女が持ってきたパーティー用の三角帽子を、
少し顔を赤らめながらも大人しく(というかやや無理矢理気味に)頭に乗せられると、
どこからともなくクスクスと笑い声が聞こえてきた。私も耐えきれず笑ってしまったけれど。


「ふふ、マルコさん、お似合いですぅ!」

「傑作だわ…!ぷくく…」

「ギャハハ!やっべぇ腹痛ぇ!!
 ツボだぜこりゃ!写メ撮らせろ写メ!!」

「ばっ馬鹿、やめろッ」


とうとう耳まで真っ赤に染めると、両手で顔を隠し始めた。
そんな遣り取りを眺め、彼は愛されているなぁ…と改めて実感する。


「ほぉら!
 廊下で騒いでないでさっさと来なさぁーい!!」

「そうよ、
 折角の料理が冷めちゃっても知らないからね!」


遠くから聞こえる美人教官達の怒りっぽくも優しい声…。


「ほれほれ、
 老人を待たせるでないぞ」

「あら、もうそちらで盛り上がってるようですね」


カラフルな輪っかの飾りを首から下げている百太郎さんに、
無邪気にクスクスと笑っている、体調も良く元気そうな私の姉さん。


「ぼーっと突っ立ってないで、行くわよ!」

「ささ!こっちですよ新時代の救世主さん♪」

「ハッハッハ、笑い過ぎて苦しいぜ!
 おっしゃ、これ待ち受けにしといたろ」

「おいッ」


バシッと肩を叩いて腰に手を当てるエリさん。
三角帽子を被る彼の背中を、グイグイと両手で押していくフィオさん。
歯を剥き出しに口元を吊り上げながら携帯を弄るターマさん。
そして何だかんだで嬉しそうな本日の主役さん…。

突然彼がピタリと止まると「うぶっ」背を押していたフィオさんが背中に顔を埋めた。


「行くぞ、留美!」


呆然と立ち竦んでいた私に振りかえり、苦く微笑みながら手を招く。
その姿に酷く熱を帯びる顔を振り払う様にして…


「イエッサー!」


…と、勢い良く敬礼してしまった。
ついでに彼が握る紙袋が更に私の鼓動を早くした事に気付かれない様…
やっぱり少し俯いてついていく事にした。


「留美はいつも元気だなぁ」


…どんな表情をして言っているのだろうか。
私は恥ずかしさで下を向いていたから、わからなかった。


***


― あの日から数年経った4月13日。

紛争の最中、彼からの無線が入り探しに行く事になったのだけど…
荒れた広い場所に辿り着き、
岩に靠れかかる彼を見つけた時は、既に死んでいるのかと思ったほど酷い傷を負っていた。
鮮血がゴボゴボと噴き出している傷を治療しようと彼に触れると、氷の様に冷たく感じた…。


「ゼェ…ゼェ…
 見ろよ、ゴホッ!あいつは死んだ…」


彼が徐に指を指す先には、大柄の男が空を向いて大の字に倒れていた。
男は額に銃弾が刺さり、周辺には血の水溜りが出来上がっていた。


「モーデン…元帥?」

「…そう」


男が起こした果てしない戦争は、新時代の救世主の手によって闇に葬られたのだ。
彼が長年望んだ結果で、平和を取り戻したのだと言った。


「今、最高の気分な筈なのに、ゴホゴホッ…
 これからまるで生きる気がしない…何故かな……」

「完治したらまた生き生きとしますよ!」


それは彼の弱音だったのだろうか。けれど少しそれとは違う気がした。
どうれあれ、彼の不安もろとも吹き飛ばすかの様に声を張り上げてみせる。


「そうじゃない…
 そうじゃないんだ…」


掠れた声で血と共に零れ出す言葉は、
弱々しいというよりは寧ろどこか安心しきっているかの様だった。
霞んだ空を眺めながら、彼はポツポツと声を落としていく。

「平和を望んでいた」とか、
それが叶ったというのに「だけどこういう未来を望んだ訳じゃない」とか…。

…私にはわからなかった。

複雑な顔をしていたのだろう…。
彼は少し微笑んでみせ「いつかわかってくれれば良い」と言った。


「留美…
 俺からの最後の作戦を聞いてくれないか?」

「え…あ、はい。何でしょうか…?」


光を宿した瞳が私を捉え、静かに目を瞑る。


「この戦場から生きて帰ってくれ」

「…ははぁ」

「なんだ…
 その気の抜けた返事は…」

「だって最後も何も…
 もう戦争は終わりましたから」


倒れて動かないその反乱軍の頭首を眺めながら、私はニコリと笑って見せる。
彼も少し困ったような表情だったが、口元を緩ませた。
そうしてすぐに薄く目を開き、真剣な眼差しで私を捉える…。


「…逆上した反乱軍兵士がやってくるかもしれん、ゴホッ…!
 奴の死体と、生き残った兵士達の身柄を回収し…
 そして生きて帰還する事。これがお前に与える、俺からの最後の作戦だ」

「そーゆー事ですね。
 わかりました…って、え?少佐はどうするんですか?」


彼は暫く黙り、重い口を開ける…。


「ヘリは恐らく定員割れする」…と。


「な…何言ってるんですか!
 そんな作戦、そんな司令、私は聞けません!!」


まるで置いていけと言う様な彼の言葉に、私は目を見開いて大きく言い放った。
ヘリが来れば治療もできるというのに、死体だけ回収してはいさよならなんて出来るわけがない。
ましてや彼の言う通り、逆上した反乱軍が襲ってきたらどうするというのか。


「できるだけ…
 多くの兵士達を…救ってほしいんだ……」

「馬鹿な事言わないで下さい!
 だったら、少佐も怪我を早く治療して、手伝って下さいよ!!
 何弱気になってるんですが!?大丈夫ですよ、こんな怪我すぐ直りますから!」

「…そうじゃ」

「今までだってそうだったでしょう?!
 少佐はゾンビやミイラになっても大丈夫で、私の不安なんて蹴散らしてました!
 私は貴方のその歴戦の勇士を見てきたからこそわかります、だから…だから…ッ!!」

「留美!!」


彼から大きく放たれた私の名前で、私はビクリと体を跳ねさせた。


「もう良い…」


筋肉質な彼の腕が、私の頭を包み込んだ。
ひやりと冷たい筈なのに、どこか温かさを感じた。


「何でですか…
 何でそんな事言うんですか…」


知らず知らずの内に私の目からボロボロと大粒の涙が溢れて止まらなかった。
なんでそんな事を言うんだと、心の中で彼を責める。


「じゃあ…
 …こうしよう……」


背中をポンッと叩かれると、私は顔を上げた。


「あの言葉を…
 言ってくれないか?」

「言葉…ですか?」

「いつも言いたいって…ゴホッ、言ってたじゃないか」

「!」


あれか!
…と私は思考を巡らせる。
皆が一緒に言っていた、いつものあの言葉…。お決まりの合い言葉…。
座ったまま涙を拭って、右手を額まで上げ敬礼し、少し顎を突き上げて息を吸った。


「自分の力を信じて決して諦めない事!」

「どんな状況でも冷静に判断して行動する事!」

「そして必ず生きて帰る事!」


あ!…と気付いた瞬間。


「よし、作戦開始!」


彼が大きな声で言い放った。


涙は彼の血と共に地面に滴り落ちる。
まるでその作戦開始を知らせるかの様に雨がポツポツと降り出してきた。


「少佐…」


まるで自分の心を表すかの様にザーッと雨が強くなってくると、
彼は静かに微笑みながら…


「お前なら大丈夫だ…」


…と消えそうな声を落とした。


「そんな…
 …そんなおわっ…み……」


お互いの声が掻き消されそうな程の雨音が耳障りだった。
我儘だとか、上官の命令に背いているとか、そんなのどうでも良い。
私は頻りに首を横に振った。そんなお別れみたいな事を言わないで…なんて。


「少佐の…合言葉…でしょ…?
 マ…ルコ少佐…だって、その合言…守っ…下さ…よぉ……」

「…聞いてくれ…留美」


淡い声を絞り出しながら、
薄らなキラキラとした宝石の様な瞳を私に向けた。


「悲しみや苦しみ…俺は何もかも背負ってここまで来た…
 奴と戦っていた最中…言うんだ…そろそろ休めば良いって…」

「でも…」

「全てを背負って…
 片翼で飛び続けた鷹に…もう疲れただろう、もう十分だよと……」

「私には……」

「そして…俺も言った…同じ……事を…
 お互い……お互いの最後の片翼を打ち抜いた…んだ……」

「……少佐…」

「ゴホッ、ゼェ…ゼェ…
 今…全てを…悟って……」

「私には…わかりません……」

やっぱり私にはさっぱりわからなかった。
彼の思いや感情…理解しようと必死に考えたけど答えは全然出てきてくれない。


「そうだな…
 …理解するのは…きっと誰だって…難しい……」

「でも…私だって……」


何故わからないのか凄く悔しかった。
こんなに一緒にいて、私は彼の何を知っているというのだろうか。
…そう考えると酷く辛くて肩を震わせた。
その様子に彼は気づいて、震える肩を優しく叩いてくれた。


「はは…は……
 お前みたいな良い仲間を持てた事を光栄に…思う……」

「これか…も…です……」

「もう良い、さぁ顔を上げてくれ…
 …なんだ…?酷い顔してこいつは……」


大きく硬い掌で頭をグシャグシャに掻き乱され、彼は再び微笑んだ。
相変わらず彼は女心がわかってない…。また言ったら怒られるだろうか…。
小さな思い出が湧き上がって、もう涙で彼の顔が滲んでしまう。


「お前は立派だ…俺が保障する……
 だから早く…任務を遂行……してくれ…」

「…どうして……」

「俺の知ってる…相川留美は…ゴホッ…
 …そんな腑抜けな奴じゃ…ない…そうだろ…う?
 いつも煩いぐらい…元気で……能天気だが…やる時はやる…立派な人間だ…だから……」

「…そんなの…嫌だよ……」


肩に添えられた彼の手を、私は両手で握りしめた。
目をやれば…
彼に巻いた包帯は、既に血が染み込んで真っ赤に染まっている。
…こんな選択酷過ぎる。

だって今日は……


「今日はマルコ少佐の…
 マルコさんの誕生日なんですよ…?
 …そんな日にこんな…あんまりです…酷いです……」


私の祝いの言葉を聞くと、
彼は「ああ、そうだったか」と思い出した様に少し照れくさそうに笑った。

戦士に休息は無い。
せめて生まれてきた日くらい幸せに過ごしてほしいというのに。
なのにこんなの…あんまりだ……。


「今日は誰にも…
 祝ってくれそうにない…な…、はは……」


力無く笑って、寂しげなその言葉を聞いた私は…
堪らず彼をギュ…と、潰してしまうかの様に強く抱きしめた。


「基地に無事帰還し…て…お祝いを…ましょうよ…
 マルコ…さ……私……ボール…ペンの……カートリッジ……用意して……ヒック…」

「…すまない……」

「どう…て…
 誤らないで…下さい…よ……」


ボロボロに崩れた顔を彼に向け、傷だらけの彼の体をほんの少し揺らした。


「……おいおい…
 頼むから……そんな顔…しないで…くれ……
 お前の取柄は……人一倍…元気なとこ…ろだって…言ってたじゃ…ないか」


そう言って彼が私の頬に触れると、手で私の涙を拭ってくれた。
けれど私の涙は止まる事を知らない…。


「ありがとな…留美……」

「マルコさ…」


「…ここに来て……

 ……やっと…思…えた…事が……ある…」


優しく目を細めた彼は、その美しい瞳をこちらに向けた。
どこまでも澄んでいて…けれどずっと深くて、深海のようで…。
その瞳とぶつかると、私は「なん…で…すか……?」と言ってゴクリと喉を鳴らす。

今までに見た事のない、
満面の笑みを浮かべて彼はこう言った…。



「…生まれてきて……良かっ…た………」



…と。

これ以上…
一緒に帰えって誕生日と終戦を祝いましょう、なんて言えなかった。


「………は…ぴーばーすでーとぅーゆー…
 はっ…ぴ…ばーすで…とぅー…ゆー………」


…代わりに私は歌っていた。
噎せる声を抑えて子守唄を歌うかの様に…
静かに背中をポンポンとリズムに合わせて優しく叩きながら歌っていた。


「はっぴばぁーすで……」

「でぃあ……マルコさぁん…」

「はっぴばーすでぇ…とぅーゆーー…」




「マルコさん…
 
 お誕生日…おめでとう御座います……えへへ」




…幸せに永遠なんて無いって事は知っていた。
おどけた様な楽しい日々も、皆一緒に笑い合える素敵な時間も…
大切な命も……

今まで…
…今までなんて幸せだったんだろう…と、押しつぶされるほど実感した。

今日は酷く胸に刻まれるほどの悲惨な日だ。
けれど彼が生まれてきてくれた最高の日だ。
…だから涙を零しながらも、
私は精一杯これまでに無いほどの笑顔を浮かべた…。


「生まれてきてくれて……
 …本当に……ありがとう御座い…ました……えへへ…ヘ……ヘ……」


私の歌は良かっただろうか。

私の声は彼に届いただろうか。

雨音で掻き消されて聞こえ難くはなかっただろうか。

…私がそう質問したところで、
彼の口から返事が返ってくる事はもうない…だろう。



マルコさんは目を瞑り、
優しく微笑んだ表情を浮かべながら眠っていた…。

頬を突っつけば何事だ!なんて飛び起きそうな程自然で…安らかに……。


だから…信じ難いのだけれど……

彼を揺すっても…
…顔を引っ叩いても……もう起きる事はない………



…そう……


……永遠に…ね………。




でもどこからか…

「留美はいつも元気だなぁ」という声が聞こえた気がした……。





END...

【2012/04/13 】 | COMMENT(0) |
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